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ワールド大阪ロータリーEクラブ
会長 定成 みず希(ソフトウェア/インターネット)
9月11日に考える「さびしいカシの木」
――やなせたかしさん、弟・千尋さん、そして平和
ロータリアンの皆さま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?
本日は9月11日です。
2001年9月11日、アメリカで同時多発テロ事件が起きました。
4機の旅客機がハイジャックされ、2機はニューヨークのワールドトレードセンターへ、1機はペンタゴンへ突入し、もう1機はペンシルベニア州に墜落しました。このテロにより、90カ国の2,977人が命を失いました。
あれから25年がたちました。
25年と聞くと、歴史の一頁のように感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、その日に家族や友人、同僚を失った人にとって、25年は単なる過去ではありません。
時間がたてば、悲しみが小さくなるとは限りません。
むしろ、共に生きられたはずの年月が長くなるほど、「もし生きていたら」という思いが深くなることもあります。
今日は、そのような「残された人の寂しさ」を生涯抱えていた一人の人物についてお話ししたいと思います。
実は現在娘の通う吹奏楽の音楽活動のお手伝いをたまにさせてもらいつつ、隅で参加しているのですが、その練習でやなせたかしさんが作詞した「寂しいカシの木」を演奏することになりました。そこでふと思い出したのが・・・
『アンパンマン』の生みの親、やなせたかしさんです。

やなせさんには、二歳年下の千尋さんという弟がいました。
二人は幼い頃に父親を亡くしました。弟の千尋さんは医師をしていた伯父の養子となり、やなせさんも後にその家で暮らすようになりました。
やなせさんは、弟は自分よりも優秀で、人に好かれる青年だったと振り返っています。若い頃には、弟への競争心やコンプレックスもあったそうです。
どこにでもいる、とても近い兄弟です。
やがて戦争によって、二人の運命は大きく変わりました。
やなせさんは陸軍に召集され、中国大陸へ渡りました。弟の千尋さんは京都帝国大学を卒業した後、志願して海軍に入りました。
戦争が終わり、やなせさんは帰ってきました。
しかし、千尋さんは帰ってきませんでした。
駆逐艦の乗組員となり、わずか二十代前半で海に散ったのです。

21歳の柳瀬千尋さん=写真左。
やなせさんは、弟や戦地で亡くなった人たちがいるのに、自分だけが生きて帰ってきたことへの後ろめたさを、長く抱えていました。
やなせさんのそばで20年以上支えた方の証言によると、晚年のやなせさんは、年を取るほど弟を失った寂しさとつらさが増していくと話していたそうです。
もし千尋さんが生きていたら、この出来事をどう話しただろう。
『アンパンマン』を見て、どんな感想を言っただろう。
自分と同じように年を重ねた弟がそばにいたら、どれほど心強かっただろう。
年月が増えるほど、弟と共に過ごせなかった時間も増えていきます。
やなせさんは、弟との思い出を『やなせたかし おとうとものがたり』という18編の詩と絵に残しました。
そして、もう一つ、今日のお話でぜひ紹介したい詩があります。
「さびしいカシの木」です。
山の上に一本で立つカシの木が、遠くへ行きたいと願い、共に暮らす相手を求めます。けれども、願いを託した雲も風も、やがて去っていきます。
それでは、やなせたかしさんの「さびしいカシの木」を紹介します。
「さびしいカシの木」
山の上のいっぽんの
さびしいさびしい
カシの木が
とおくの国へいきたいと空ゆく雲にたのんだが
雲は流れてきえてしまった
山の上のいっぽんの
さびしいさびしいカシの木が
私といっしょにくらしてと
やさしい風にたのんだが風はどこかへきえてしまった
山の上のいっぽんの
さびしいさびしい
カシの木は
今ではとても年をとり
ほほえみながら立っている
さびしいことになれてしまった
この詩は、弟の千尋さんについて書かれたものだと、やなせさん自身が説明したわけではありません。しかし私は、千尋さんのことを知った後でこの詩を読むと、やなせさんの人生と重なって聞こえます。
一本の木は、その場所から動くことができません。
雲は流れ、風は通り過ぎていきます。
それでも木は、寂しさを抱えながら、そこに立ち続けます。
「寂しさに慣れた」ということは、寂しくなくなったということではないのだと思います。
心の中に消えないものを抱えたまま、それでも生きていく。
やなせさんも、そうだったのではないでしょうか。
やなせさんは、戦地で激しい飢えも経験しました。
戦争では、それぞれの国が自分たちの正しさを主張します。しかし、立場が変われば、正しさの見え方も変わります。
そんな中でやなせさんがたどり着いたのは、お腹をすかせて困っている人に食べ物を差し出すことは、立場が変わっても揺らがない正義だという考えでした。
そこから生まれたのが、自分の顔を食べさせて、飢えた人を助けるアンパンマンなのでは?と感じました。

アンパンマンは、傷つかずに悪を打ち倒すヒーローではありません。自分の顔を与えれば、自分の力は弱くなります。
それでも、目の前に困っている人がいれば、先に手を差し出します。
やなせさんの秘書を長く務めた方は、やなせさんが「アンパンマンを描いていくうちに、自然と弟の千尋に似てきた」と話していたことを紹介しています。
やなせさんが大切だと思うことをアンパンマンに込めていくうちに、いつの間にか、最愛の弟の面影がそこに現れていたのです。
この話を知ると、アンパンマンの丸い顔ややさしさが、また少し違って見えてきます。

戦争によって弟を失い、飢えと生き残ったことの後ろめたさを知った人が、子どもたちに残したヒーローは、敵を倒すことよりも、まず人を助けるヒーローでした。
ここで、もう一度9月11日のことに戻りたいと思います。
テロという暴力は、相手の命を、自分の目的を実現するための手段にしてしまいます。
そこで失われるのは、犠牲者の数字ではありません。
一人ひとりの名前があり、家族があり、将来がありました。
そして、一人の命が失われるたびに、その人を愛した方の中に、長く続く「さびしいカシの木」が一本ずつ残されるのだと思います。
平和という言葉は、とても大きな言葉です。
私たち一人ひとりに、戦争やテロを止めることができるのかと考えると、自分の力の小ささを感じるかもしれません。
しかし、ロータリーは、平和構築と紛争予防を重要な活動分野の一つとしています。
ロータリーが目指す平和は、ただ戦闘が起きていない状態だけではありません。
貧困、差別、教育の欠如、食料や資源の不公平な配分など、人の不安や対立の根となる問題に向き合い、人と人が協力できる社会をつくることです。
それは世界的な活動だけでなく、私たちの日常の中から始まります。
自分と違う意見を、最後まで聞くこと。
言葉や立場の違いで、人をひとくくりにしないこと。
困っている人や、一人でいる人に、こちらから声をかけること。
食べる物に困っている人がいれば、食べ物を分けること。

どれも、アンパンマンがしていることに比べれば、難しいことではありません。
けれども、そうした小さな行動が、人を孤立から救い、人と人との間に信頼を育てます。
「さびしいカシの木」を見つけたとき、私たちは流れる雲のように、そのまま通り過ぎないことができます。
木の方から近づいてくることはできなくても、私たちの方から歩いていくことはできます。
戦争とテロが残す寂しさを忘れないこと。
目の前の人の寂しさを見過ごさないこと。
そして、困っている人へ、自分から一歩近づくこと。
それが、やなせたかしさんの生き方とアンパンマンが、私たちに教えてくれる、平和への小さくて確かな一歩ではないでしょうか。
9月11日の今日、あの日に命を失った方々、戦争で若くして亡くなった千尋さん、そして大切な人を失ったすべての方に思いを寄せたいと思います。
最後に、木下牧子さんの曲による「さびしいカシの木」をお聴きください。
作詞 やなせたかし / 作曲 木下牧子
歌 野々村彩乃 / pf 乾将万
参考資料
National September 11 Memorial & Museum “9/11 FAQs”
https://www.911memorial.org/911-faqs
香美市立やなせたかし記念館「やなせたかしについて」
https://anpanman-museum.net/yanase/
香美市立やなせたかし記念館「やなせたかしと3びきのライオン」
https://anpanman-museum.net/exhibition/d80fy7aop1uw0slu.html
NHK財団ステラnet「もっと知りたい!『あんぱん』と、やなせたかしさんのこと 弟・千尋さんへの思い、そして暢さんの戦後」
https://www.steranet.jp/articles/-/4563
フレーベル館『やなせたかし おとうとものがたり』
https://book.froebel-kan.co.jp/book/detail/9784577042595
河出書房新社『やなせたかし詩集 てのひらを太陽に』
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309421520/
音楽之友社『女声・同声合唱による10のメルヘン 愛する歌』
https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?id=553730
PHP研究所『ボクと、正義と、アンパンマン』
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85151-8
小学館クリエイティブ『新装版 ぼくは戦争は大きらい やなせたかしの平和への思い』
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784778035280
国際ロータリー「平和の推進」
https://www.rotary.org/ja-jp/our-work/promoting-peace

ワールド大阪ロータリーEクラブ
SAA永井 純(服飾企画・製造・販売)
SAAより、ワールド大阪ロータリーEクラブ第727回例会の出席報告をさせて頂きます。■会員総数:23名
■今週の出席:23名
■今週の出席率:100%
以上です。
幹事報告

ワールド大阪ロータリーEクラブ
幹事角谷 智志(生命保険代理店業)
・各位メッセージボードをご確認ください。

ワールド大阪ロータリーEクラブ
篠原 聖二(医療)
こんにちは、篠原聖二です。
本日はお集まりいただき、ありがとうございます。
本日は、私が普段の事業としても深く向き合っている「健康診断と予防医療の重要性」についてお話しさせていただきます。

私たちは日々、会社の経営や仕事、そして日々の活動に全力を注いでいます。しかし、そのすべての原動力となるご自身の身体のメンテナンス、すなわち「健康診断」を後回しにしていないでしょうか。
経営者やビジネスパーソンほど、「自分はまだ自覚症状がないから大丈夫」「忙しくて時間が取れない」とご自身の健康を過信しがちです。
しかし、生活習慣病や多くの大病は、初期には全くと言っていいほど自覚症状を出さずに、静かに身体の中で進行していきます。気がついた時には手遅れになっていた、という事態は絶対に避けなければなりません。
健康診断の本当の価値は、ただ病気を「見つける」ことだけではありません。数値のわずかな変化という客観的な事実から、将来起こり得る大きな健康リスクを先回りして「防ぐ」、いわゆる未病対策にこそ本当の価値があります。
年に一度の健診結果は、ご自身の身体の通信簿であり、予測不能なリスクに対する最高の経営ヘッジそのものです。
そして、この「健康を守る」という視点は、私たちが事業を継続し、社会に貢献し続ける上でも絶対に欠かせない基盤となります。

万が一、大病を患ったり突然の体調不良に陥ったりすれば、それはご本人やご家族の人生を大きく揺るがすだけでなく、会社や従業員、そして取引先や地域社会にとっても計り知れない損失となります。
日頃から自身の健康状態を正確に把握し、早期発見・早期対応を心がけることは、自分自身のためだけではなく、周囲への責任を果たすための最も重要なリスク管理なのです。
さらに、私たちが健康であるからこそ、家庭を守り、事業を成長させ、地域社会に対しても価値を提供し続けることができます。心身の健康はすべての土台であり、それを維持・管理することはリーダーとしての重要な責務の一つです。

忙しさを理由に受診を先延ばしにせず、自らの健康を守り抜くこと。そして、日頃から定期健診を通じて自身の身体の声に真摯に向き合うこと。それこそが、家庭や社員、そして組織を守るリーダーの責任であると私は強く信じています。
本日は、改めてご自身の、そしてご家族の健康診断の受診状況を見つめ直していただくきっかけになれば幸いです。
お時間をいただき、ありがとうございました。皆さまが日頃から健診を上手に活用され、心身ともに健やかな日々を送られることを心より願っております。







